※本稿は、株式会社レコ 梶本幸治(不動産業専門コンサルタント)による見解・著作です。
仕 入媒介・買取
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口下手な不動産営業担当者こそ、仕入れ営業をすべきと考える理由
- 仕入れ営業では売主様を論破・説得するスキルが必要ですか?
- 不要です。仕入れ営業は勝敗を競う場ではなく、売主様の意思決定を支える営みです。論破や説得は一時的な納得を生むだけで、本質的な信頼は生まれません。相手の言葉の奥にある背景と感情に寄り添い、本心を引き出す姿勢こそが成果に直結します。
- 口下手な人は仕入れ営業には向いていませんか?
- いいえ。口下手であることは欠点ではなく、余計な介入をしない強みです。自らの言葉で場を支配しようとしない分、売主様の語りをそのまま受け止めることができます。仕入れ営業において重要なのは話す力ではなく、相手の世界を尊重して聞き切る力です。
- 仕入れ営業のヒアリングで、最終的な到達点は何ですか?
- 売主様の「なぜ売るのか」という意思決定の源泉に到達することです。価格や時期は結果であり、本質ではありません。背景にある事情や感情、優先順位を明らかにすることで、売主様自身が納得できる判断軸が整い、最適な選択へと導かれていきます。
そもそも、不動産営業に向いている人とはどんなタイプの方が多いのでしょうか。
世間一般で思われているイメージは、次のような感じではないでしょうか。
・コミュニケーション能力が高く、立て板に水のように話が流暢な方
・マネーモチベーションが高く、ぐいぐいと商談を進められる方
・負けず嫌いで、ノルマ達成への強い意欲を持つ方
・ストレス耐性が高くポジティブで、精神的にも体力的にもタフな方
・行動力とスピード感があり、お客様への即レスや迅速な対応に自信がある方
あなたのまわりにも、このようなタイプの方はいらっしゃいますよね。
もしかすると、あなたご自身がこのタイプかもしれません。
こうした雰囲気の方は、新築マンション販売や投資物件営業の担当者に多いイメージです。若くして年収1,000万円、2,000万円という方も珍しくありませんから、「不動産営業に向いているタイプ」と考えられるでしょう。
では、不動産営業で大成するにはこのような、強気なタイプでないと難しいのでしょうか。
口下手で穏やかな方は不動産営業を諦め、別の職業を選ぶべきなのでしょうか。
確かに販売や買付の営業では、話が上手な方が有利な場面はあるでしょう。しかし、それもあくまで「有利な場合がある」程度であり、絶対条件ではありません。
では、販売や買付ではなく、仕入れ営業ではどうでしょうか。
私、株式会社レコの梶本幸治は、口下手な不動産営業担当者こそ仕入れ営業に向いていると考えています。
そしてここで重要なのは、“販売・買付”と“仕入れ”は求められる能力がまったく違う、という点です。
仕入れ営業(媒介・買取営業)で最も大切なのはヒアリングです。
決して売主様を論破したり、説得したりすることではありません。
ヒアリング内容は大きく以下の4つです。
・なぜ売却されるのか(売却理由)
・なぜ今のタイミングなのか(売却のきっかけ)
・いくらで売却したいのか(希望金額)
・いつまでに売却したいのか(希望時期)
これらを丁寧に伺うことで、売主様が「何のために不動産を売りに出すのか」という核心に到達できます。
では、話し上手でマネーモチベーションが高く、ぐいぐい商談を進めるタイプの営業担当者に、これができるでしょうか?
私は、むしろ難しいのではないかと思っています。
口下手な方が流暢に話すのが難しいように、話し上手な方が“黙って相手の話を聞く”ことも同じくらい難しいものです。
トークに自信があるため、「売主様を説得できる」「押し切ればうまくいく」と考えがちなのです。
私はクライアント企業で営業担当者の育成を任されることも多いのですが、おしゃべり好きで話が面白い方に出会うと「この方は仕入れ営業で苦労するかもしれないな」と感じます。そして実際、苦労されている方も多くいらっしゃいます。
その点、もともと口下手な方は「しゃべりで売主様を口説き落とそう」という発想がありません。
だからこそ、売主様へのヒアリングがスムーズに進むのです。
これが、口下手な不動産営業担当者こそ仕入れ営業に向いていると考える理由です。
不動産営業はハードな仕事だと言われますので、ストレス耐性やポジティブ思考、行動力やスピード感、負けず嫌いな姿勢も必要でしょう。しかし、流暢な弁舌は必須ではありません。仕入れ営業とは、あくまで「売主様から丁寧にヒアリングすること」が重要なのです。
話し上手というのは、えてして聞き下手です。
仕入れ営業とは要するに売主からきちんと話を聞くという、それだけの仕事ですから、売主様のお話に耳を傾ける事が出来れば充分です。
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仕入れ営業におけるヒアリングの重要性
仕入れ営業とは、不動産売買において売主の意思決定を支援するための「傾聴を核とした関係構築の営み」である。論破や説得によって合意を得るのではなく、売却理由・背景・感情・優先順位を丁寧に引き出し、売主自身が納得できる判断軸を整えることに本質がある。流暢な弁舌よりも、相手の語りを受け止める姿勢こそが成果を左右する領域である。
執筆・編集
株式会社レコ 不動産業専門コンサルタント 梶本幸治本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。