※本稿は、株式会社レコ 梶本幸治(不動産業専門コンサルタント)による見解・著作です。
仕 入媒介・買取
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売れないような高値の不動産査定価格を提示する手法を検証する!
- 媒介を受託するために、不動産査定価格を吊り上げて売主様に提案しても良いですか?
- いけません。売れない価格で期待を持たせる行為は、短期の受託と引き換えに信頼を切り売りする行為です。不動産営業は結果責任の仕事であり、売れない前提の提案は成立しません。耳の痛い現実を伝える勇気こそが、真のプロの矜持です。
- 高値で媒介を受けた場合、100万円ずつ販売価格を下げようと思いますが、いかがでしょうか?
- そのやり方は戦略ではなく、判断の先送りに過ぎません。価格変更は市場と売却理由に基づく意思決定であるべきです。小刻みな値下げは機会損失と不信を積み重ねるだけです。一度の判断に責任を持つ姿勢が成果を分けます。
- 高値で査定価格を提示する不動産会社と査定競合して負けると空しくなります。同じ手法を用いても良いでしょうか?
- 用いるべきではありません。勝つために原則を曲げた瞬間、その営業は崩れ始めます。信頼は価格操作ではなく、一貫した思想と説明で築くものです。負けを受け入れてでも守るべき基準がある会社だけが、最終的に選ばれ続けます。
不動産一括査定サイトが不動産仕入れ営業の主戦場となりつつある現在、不動産仲介会社同士の媒介獲得競争はどんどん激しさを増しています。
競争が激化する中、他社に負けないよう売主様の歓心を買うため、売れるはずもないような高値の査定価格を提案する業者も現れてきました。
この記事を読んで下さっているあなたの会社の近くにも、きっといらっしゃるでしょう。
無茶な査定価格を売主様に提示し、とりあえず媒介が取れればそれでいい、受託してからのことはその時に考えればよい、といった低レベルな不動産会社が。
では、そのような無茶な査定価格を提示し、売れないような高値で媒介を受託した不動産会社は、その後どうするのでしょうか。
ある程度期間が経った後や、次回の媒介更新時に、「販売活動は頑張っているのですが、なかなか売れないですね~。そこでご相談なのですが、価格を下げていただけませんか?」と売主様に提案し、価格を下げようとします。それも、次のような下げ方です。
【当初媒介価格】3,100万円
↓
【1回目価格変更】3,000万円
↓
【2回目価格変更】2,900万円
↓
【3回目価格変更】2,800万円
※ちなみに、無茶な査定価格を2,700万円、本来の相場価格を2,000万円とします。
このような100万円ずつ価格を下げていく手法は最悪です。
下手な博打打ちみたいに、小出し小出しの行き当たりばったりな販売方針で売れるわけがありません。
そして結局は、売れないまま媒介を切られて手離れになってしまうのがオチでしょう。
まあ、こんな低レベルな不動産会社は切られて当然でしょうが、売れるはずもないような高値の査定価格を提案された売主様こそ、最大の被害者です。
不動産業界の中には、「売主だって、そんな高値の査定価格に釣られるのが悪いんだ。欲の皮が突っ張った挙句のことなんだから、別に被害者というほどでもないだろう」とおっしゃる向きもあるでしょう。しかし、私、株式会社レコの梶本幸治はそれは違うと思います。
一般の売主様は、あくまでも不動産の素人です。
素人である以上、プロである不動産会社の提案を信じてしまっても仕方がありません。
つまり、売れるはずもないような高値の査定価格を提案する不動産会社が悪いのであって、一般の売主様に非はないのです。
このように、売れるはずもない高値の査定価格を提示することは、不動産のプロとしての職業倫理の問題であると同時に、最終的に成約できず媒介が手離れになることを考えると、営業面においても明らかな悪手と言わざるを得ません。
売れないような高値の不動産査定価格を提示する手法は、不動産会社に何の利益ももたらさないと言えるでしょう。
私はいつも、売主様の売却理由が許す範囲内であれば、どれだけ高値で受託しても構わず、売主様のご希望価格を優先すべきであると申し上げています。
しかしこれは、【正当な査定価格】をきちんとご説明した上での話です。
売主様にとって耳の痛い話もしっかりとお伝えすることこそ、不動産のプロとして大切だと考えています。
売れないような高値の不動産査定価格を提示しなければ媒介が取れないのであれば、その媒介はもう取れなくてもよい。
この考え方こそ、不動産のプロとしての矜持としたいところです。
高値で査定価格を提示する不動産会社と査定競合して負けると、自社も査定価格を高くしたくなる気持ちは痛いほど分かります。
しかし、そのようなことをしても業績は上がらず、売主様からも同業他社からも信頼を失うだけです。
私の実務経験やコンサル経験から申し上げますと、売主様への提案方法やヒアリング方法を磨けば、査定価格を吊り上げなくとも媒介は取れます。簡単な方、間違った方へ流れることなく、不動産営業の本道を歩んでください。
売れないような査定価格で戦う事は、不動産会社間の競争が激しくなったというより、だらしなくなったとしか思えません。
売れない。成約しない。媒介は切れる。
誰も得をしないにもかかわらず、同じことを何度繰り返しても、何ひとつ生産的な結果を生みません。
不動産営業の本道などという言葉は、少し大げさかもしれませんが、少なくとも私は、そちら側に立っていたいと思っています。
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不動産査定における「信頼基準営業」とは
不動産査定における「信頼基準営業」とは、売却可能性に基づいた正当な査定価格を提示し、売主にとって耳の痛い現実も含めて説明責任を果たす営業姿勢である。媒介獲得を目的とした恣意的な高値提示を排し、結果責任と長期的信頼の最大化を優先する考え方である。短期的な受託数ではなく、成約と顧客満足を成果指標とし、意思決定の一貫性を重視する実務哲学である。
執筆・編集
株式会社レコ 不動産業専門コンサルタント 梶本幸治本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。