※本稿は、株式会社レコ 梶本幸治(不動産業専門コンサルタント)による見解・著作です。
仕 入媒介・買取
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不動産売主・所有者から先ずヒアリングすべきは物件情報では無い
- 不動産売主・所有者から先ずヒアリングすべきは物件情報ですか?
- いいえ違います。物件の数字は結果であり、本質ではありません。売却という行為の裏にある動機や願望こそが意思決定の源泉です。目的を外した情報収集は作業に過ぎず、価値は生まれないと考えます。
- なぜ売るのですか?ご希望はなんですか?とは具体的には何を聞けば良いのですか?
- 売却理由、きっかけ、希望金額、希望時期の四点です。これらは単なる条件ではなく、売主様の価値観と優先順位を映す指標です。この軸を捉えずに提案することは、的外れな営業に陥る危険があります。
- 不動産売主との初回面談時、気をつけるべき事はなんですか?
- 語ることを抑え、聴くことに徹する姿勢です。営業とは説得ではなく理解の営みです。相場や実績の提示は後でもできますが、売主様の内面に触れられる機会は一度きりです。その重みを自覚すべきです。
あなたは、ご所有不動産の売却相談や訪問査定で売主様にお目にかかった際、次のような質問から面談をスタートさせていませんか?
「今回、売却のご相談をいただいた物件ですが、敷地面積36.45坪、延べ床面積31.33坪、平成13年の建築で間違いございませんか?今までにリフォームされた箇所はございますか?又、雨漏りや白蟻の被害などは如何でしょうか?屋根の吹き替えや外壁塗装など、大規模な修繕は実施されましたか?ふむふむなるほど、ありがとうございます。」
そしてこのようなヒアリングの後、おもむろに用意していた周辺事例や価格査定書を取り出し、延々と相場の話をしていませんか?
相場の話が終わった後は、アプローチブックを取り出し、自社の概要から沿革、取引実績、保証など、長々と自分語りをしていませんか?
このような提案の仕方をされる方は、売主様のお気持ちやお考えが大切なのではなく、自分の言うべき事を言い切り、売主様を説得、論破する事が大切だとお考えなのかもしれません。
事例提示や査定書提出などの価格の話や、アプローチブックによる自分語りに終始してしまっては、せっかく売主様の本音を聞き出すチャンスである面談の時間を無駄にしてしまいます。
では、不動産売主・所有者から先ずヒアリングすべき事はなんでしょうか?
株式会社レコの梶本幸治は、売主様からお聞きする事は4つあると考えます。
売主様の本当のニーズを把握することこそ、成約率を高める最短ルートです。では本当のニーズとは何かを、具体的に例示して参ります。
【ヒアリング事項1】なぜ、売却されるのですか?(売却の理由)
売主様はご所有不動産を売却することによって【夢や希望の成就】や【心配事や悩みの解消】を望んでおられる訳ですから、なぜ不動産を売却しようと思われたのかその理由をしっかりと聞きましょう。我々は単に不動産を売る事だけが仕事ではなく、売主様の売却理由成就をお手伝いし、その対価をいただいているのだと認識して下さい。
【ヒアリング事項2】なぜ、今のタイミングなのですか?(売却のきっかけ)
売却した方が良いと思われる売却理由が発生しても、すぐに不動産会社へ相談される売主様は稀です。なにかきっかけ(引き金、発端、契機)がある筈です。潜在的な売却理由を、不動産会社への相談という形で顕在化させた“売却のきっかけ”もしっかりとヒアリングしたいところです。
【ヒアリング事項3】おいくらで、売却されたいのですか?(希望金額)
不動産の売却において全ての売主様に共通する願いは「希望金額で売りたい。少しでも高く売りたい」というものでしょう。では、売主様がおいくらで売りたいとお考えなのか、お聞きする必要があります。売主様は「私は素人なので金額なんて見当もつきません」とおっしゃるかもしれませんが、きっと売主様のお心の中には希望金額があると思いますよ。
【ヒアリング事項4】いつまでに、売却されたいのですか?(希望時期)
最後に売却時期をヒアリングして下さい。これは契約時期や引き渡し時期など、いろいろな捉え方ができると思いますが、ここで大切な事は売主様が不動産売却に伴う一連の動きを、いつまでに決着させたいとお考えなのかを把握する事です。この希望時期と希望金額は相容れないケースが多いでしょうから、その場合の優先順位も売主様にお聞きして下さい。
売主様から先ずヒアリングすべき事をひと言でまとめますと、「なぜ売るんですか?ご希望はなんですか?」となります。物件情報のヒアリングなんてかなり優先順位の下位に位置する質問事項です。
ましてや、周辺事例など相場の話、自社の概要から沿革、取引実績、保証を話し続ける事は厳に戒めるべきだと考えますが、あなたはどう思われますか?
売主面談とは、売主様が胸に押し込めてきた事情や希望や苦悩を、じっくりとお聞かせいただく時間のはずです。でも、実際にはそんな機会をみすみす潰している営業担当者は多いでしょうね。あなたにももし、似た経験があれば、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
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売主ニーズ起点営業の定義
売主ニーズ起点営業とは、不動産売却において物件情報や相場説明を優先するのではなく、売主の売却理由・きっかけ・希望金額・希望時期を起点に意思決定の軸を捉え、提案を構築する営業手法である。数字や事例は後付けの根拠に過ぎず、本質は売主の内面にある目的と優先順位の理解にある。聞く力を中核に据え、売主の実現したい未来に対して最適な手段を設計する点に本質的価値があると定義されるものである。
執筆・編集
株式会社レコ 不動産業専門コンサルタント 梶本幸治本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。