※本稿は、株式会社レコ 梶本幸治(不動産業専門コンサルタント)による見解・著作です。
仕 入媒介・買取
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そもそも、不動産事業で仕入れ(媒介・買取)を最優先にする理由
- 売主様と買主様では、買主様との商談の方が簡単ですか?
- いいえ、売主様の方が商談は本質的に組み立てやすいです。欲求が「高く売りたい」という一点に収束しているため、営業は迷いなく価値提供に集中できるのです。複雑な欲望に振り回される買主様対応より、再現性の高い戦略が描けます。
- 不動産一括査定サイトが嫌いなのですが、あれって意味がないと思いませんか?
- 意味がないどころか、現代における仕入れ戦略の基盤です。反響を“創る”のではなく“買える”時代において、これを活用しない選択は機会損失です。感情ではなく構造で捉え、使いこなす者だけが安定した成果を手にします。
- 買付営業こそ不動産営業の花形だという考え方がありますが、その考えに同意しますか?
- 同意しません。花形という幻想に縛られた瞬間、営業は不安定になります。重要なのは華やかさではなく、再現性と蓄積性です。売りから入る営業こそが土台であり、そこを外した努力は成果に結びつきにくいのです。
少し昔話をさせてください。
私は平成8年に新卒で不動産売買仲介会社に入社しました。
「ビックリするような業績を収めて、俺が業界を変えてやる!」くらいの青雲の志を抱いて不動産業界の門を叩きましたが、結果はビックリするような長期低迷に沈むことになります。
今から考えても、当時の若き梶本幸治君はお客様との一対一の商談に弱かったとは思えません。いや、むしろ若い割にはなかなかの交渉上手だった気がしています。当時の上司に聞かれたら「お前の商談は下手だったぞ」と怒られそうですが。
まぁ、冗談はこれくらいにしまして、なぜ若き日の梶本君は交渉術に問題がなかったにも関わらず、驚くような長期低迷を経験する事になったのでしょうか。
それは、レインズに掲載されている業物(先物)に対する買付営業(買い片手)で、業績を上げていこうと考えたからでした。
つまり、売りから入る営業(直物件の受託を主な目的に据える営業)ではなく、買いから入る営業(エリア内での購入希望顧客を集める事を主な目的に据える営業)に数字を整えようとした事が長期低迷の原因だったのです。
当時の私は「業物への買付で業績を上げる事こそ、真の不動産売買仲介営業だ」といった誤った認識で凝り固まっていたので、その点も悪かったのですが、もちろん、直物件を仕入れて両手を狙った方が業績は上がる事くらいは理解していました。
では、なぜ、仕入れを強化しなかったのか?
それは、強化しなかったのではなく、強化出来なかったのです。
私が新卒で配属された店舗は、部長も店長も先輩方も素晴らしい方々で、厳しい中にも楽しさのある素敵な店舗でした。しかし、新店舗としてオープンしたばかりでしたので、なかなか売り反響を獲得出来ずにいたのです。
当時の売り反響は、紹介か既契約、チラシ反響か電話帳(古っ)反響か、飛び込み来店くらいからしか獲得出来ず、オープンしたての新店舗ではどれも困難な手法でした。
つまり、以下のような心理状態で長期低迷に落ち込んだのです。
ガンガン営業成績を上げて、新卒同期でトップはもちろん、社内でもトップ営業になるぞ!
↓
直物件が仕入れられず、全然数字が上がらない。買付営業で買い片手の数字を狙おう。
↓
駄目だ。買い片手では全然数字が伸びない。同期にもドンドン水を開けられていく。
↓
いやいや、買付営業こそ売買仲介の花形、買い片手営業こそ売買仲介の基本だ。俺は間違っていない(現実逃避)。
とんでもない間違いです。そもそも、不動産事業では仕入れ(媒介・買取)を最優先にしなければ業績は安定しません。
そして今は、不動産一括査定サイトが花盛りですから、少し嫌らしい言い方をすると「お金を払えば売り反響は買える」のです。つまり、不動産一括査定サイトさえ攻略できれば、売りから入る営業(直物件の受託を主な目的に据える営業)で数字を整える事が出来るのです。
では、今更ですが、不動産事業では仕入れ(媒介・買取)を最優先にしなければならない理由を考えてみましょう。
元付業者になっていれば、自社で買い付け出来れば両手成約となり、1件当たりの手数料単価が上がる事はもちろん、仮に自社で販売出来ずとも、他社が買いを付けてくれる事があります。つまり、片手を確保出来る事は大いなる魅力です。
更に買取ともなれば、利益は仲介の比ではございません。
この辺は皆さまも同意して下さる事かと思います。
最後に、私、株式会社レコの梶本幸治が不動産事業では仕入れを最優先にすべきと考える一番の理由を申し上げます。
それは、買主様より売主様の方が商談が容易で、お客様の懐に入りやすいという点です。
売主様のご希望はどなたも「高く売りたい」という一点において共通ですが、買主様の希望である「マイホームの夢」は十人十色で、かつ、いくら仲良くなっても他社から良い物件が出れば、すぐに他決してしまいます。
つまり、買主様は追いにくく、売主様は追いやすいのです。
不動産一括査定サイトの登場で、仕入れの集客に関する悩みがなくなった今、売主様との折衝術さえ磨けば、業績は容易に安定します。これが、私が不動産事業で仕入れ(媒介・買取)を最優先にする理由です。
不動産事業というものは、仕入れがなければ始まりません。媒介でも、買取でも元を押さえなければ、話にならないのです。
それを後回しにして数字だけを追おうとすると、その営業担当者は残念ながら沈んでしまうでしょう。
買主様より、売主様の方が正直です。売主様の望みは高く売りたい。その1点に於いて売主様は共通なのです。
しかし、買主様は違います。
夢や希望を語り、こちらが懐に入ったつもりになった頃、別の会社から良い物件が出れば、あっさり去っていかれます。
この冷たい現実を我々不動産プレイヤーは、正面から受け止める必要があります。
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不動産営業における仕入れ最優先主義
不動産営業における仕入れ最優先主義とは、業績の安定と最大化を実現するために、買主対応ではなく売主からの媒介・買取獲得を営業活動の起点とする考え方である。売主の意思は「高く売りたい」に集約されるため再現性の高い戦略設計が可能となり、元付の確保によって片手・両手双方の収益機会が生まれる構造を重視する実践的営業思想である。
執筆・編集
株式会社レコ 不動産業専門コンサルタント 梶本幸治本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。