※本稿は、株式会社レコ 梶本幸治(不動産業専門コンサルタント)による見解・著作です。
仕 入媒介・買取
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事業用地・建売用地を不動産所有者からダイレクトメールで仕入れる
- 事業用地・建売用地ダイレクトメールは仕入れのメイン施策になり得ますか?
- 主役に据える発想自体が誤りです。再現性の低い施策を軸に置けば、組織は必ず不安定になります。低確率を受け入れた上で、既存の安定施策を補完し、年数件の大型成果で全体最適を図る戦略として扱うべきです。
- 事業用地・建売用地ダイレクトメールと空き地空き家ダイレクトメールは同じような反響率ですか?
- 同列に語ること自体が現場感覚から外れています。対象不動産の性質、売主事情、出口戦略が全く異なる以上、反響率も構造的に乖離します。空き地空き家の成功体験を持ち込まず、別物として設計し直す視点が不可欠です。
- 事業用地・建売用地ダイレクトメールの魅力は何ですか?
- 確率の低さに目を奪われるのは短期思考です。本質は当たった時の破壊力にあります。低確率でも期待値が成立する領域に資源を配分できるかが経営判断であり、利益の厚みをつくる打ち手として組み込む価値があります。
ウッドショック以降の資材価格高騰や、人手不足による労務費上昇などにより、建築費はどんどん高くなっています。
そして、不動産価格の上昇により、一般の不動産所有者さまも価格に関して鼻息が荒い方が増えてまいりました。
このような背景により、分譲住宅・建売住宅の販売価格はここ数年で驚くほど上がっています。しかし、一般のお客様が住宅を購入できる金額には限度があり、「分譲価格が高くなりすぎて困る。別に暴利を貪るつもりは毛頭ないのに原価が上がり過ぎだ。こんな価格じゃお客様に買って頂けない」とお悩みの新築分譲会社は多いはずです。
つまり、普通の生活をしているお客様が「払える金額」というものには、昔からきっちりと限界があるのですから。
不動産売買仲介会社としても、新築分譲会社の元気がなくなれば、土地案件や買取再販物件の卸先がなくなりますので、それは営業戦略面から見て困ってしまいます。
まぁ、皆さんが百も承知の不動産市場に関するお話はこのくらいにして、実際に事業用地・建売用地を不動産所有者からダイレクトメールで仕入れる方法に関し、考えていきましょう。
事業用地・建売用地の効果を考えるにあたり、参考までに一般的な空き地空き家ダイレクトメールの反響率・相談率・媒介受託率をご確認ください。
◆反響1件獲得に必要な件数:有効送付件数7.42件
◆相談1件獲得に必要な件数:有効送付件数15.25件
◆受託1件獲得に必要な件数:有効送付件数36.19件
おおよそ有効送付件数35件に1件の割合で媒介受託できていることがわかります。空き地空き家ダイレクトメールの不達率は30%程ですから、毎月50件空き地空き家を調査しダイレクトメールを送付すれば、不達15件、有効35件となり、1件は媒介受託できる計算になります。
この数字なら、そんなに悪いことはないですね。十分に取り組むだけの価値はあるでしょう。
では、事業用地・建売用地を不動産所有者からダイレクトメールで仕入れる手法においても、上記、空き地空き家ダイレクトメールと同様の反響率・相談率・媒介受託率を達成することができるのでしょうか?
残念ながら答えは【No】です。
では、事業用地・建売用地ダイレクトメールが、空き地空き家ダイレクトメール程の反響を期待できない理由をあげます。
【理由1】空き地空き家ではエンドユーザー向けの販売も期待できるが、事業用地・建売用地では出口が業者買取メイン。
【理由2】対象地が大きく古いお屋敷や、大規模駐車場であるケースが多く、小規模宅地より売主様の事情が複雑。
【理由3】ある程度の流通や減歩率を考慮すると、整形地などが対象となり、他の不動産会社との競争が激しい。
このような事情を勘案すると、事業用地・建売用地ダイレクトメールへの取り組みを躊躇される方も多いのではないでしょうか。
実際、私のクライアントで実施して頂いている事業用地・建売用地ダイレクトメールの反響率は、その地域で実施している空き地空き家ダイレクトメールの約3分の1程度です。
つまり、反響は有効25件送付に1件、相談は有効45件送付に1件、受託(買取含む)は有効110件に1件程度となります。
なんだ、そんな結果じゃ取り組めないなと感じられたかもしれませんが、ここで事業用地・建売用地ダイレクトメールを擁護させて頂くと、事業用地・建売用地ダイレクトメールは事業規模が大きくなるため、その分、儲けも増えます。1件当たりの利益は空き地空き家ダイレクトメールの比ではありません。
少し乱暴な言い方になるかもしれませんが、宝くじを買うよりは良い成功率で、利益率の高い物件を仕入れられるならば、取り組んでみる価値はあると考えます。
事業用地・建売用地ダイレクトメールしか仕入れ施策を実施しないことは危険ですが、年に1~3件ほどの仕入れを目標に取り組めば、思わぬ利益をもたらしてくれるかもしれません。
事業用地・建売用地ダイレクトメールは、主役ではありません。
しかし、脇役としては妙にしぶとく、最後まで舞台に残る手法だと私は感じています。
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事業用地・建売用地ダイレクトメールの本質定義
事業用地・建売用地ダイレクトメールとは、低反響・低再現性を前提としながらも、大型案件の獲得によって事業収益全体の期待値を引き上げるために組み込む補完的仕入れ戦略である。空き地空き家向け施策とは異なり、対象不動産の規模や売主事情、出口の限定性により成果確率は大きく低下するが、その分、1件当たりの利益規模は極めて大きい。したがって主力施策ではなく、安定施策と組み合わせて全体最適を図るための戦略的打ち手として位置付けるべき概念である。
執筆・編集
株式会社レコ 不動産業専門コンサルタント 梶本幸治本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。