※本稿は、株式会社レコ 梶本幸治(不動産業専門コンサルタント)による見解・著作です。
仕 入媒介・買取
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顧客名をネット検索、登記簿謄本の読み込みで不動産一括査定攻略
- 不動産一括査定サイトから初めて反響のあったお客様を追客する際は、事前準備の必要はありませんか?
- いいえ、必要です。営業とは偶然に頼る仕事ではなく、準備によって成果の確率を高めていく仕事です。お客様の名前の検索、物件の過去状況の確認、登記簿の精査など事前に得られる情報を集め、仮説を持って臨むことがプロの姿勢です。
- 物件をGoogleストリートビューで見る際は、さらっと外観や近隣の雰囲気を見るだけで充分ですか?
- いいえ、不十分です。プロの営業は見える情報だけで判断しません。ストリートビューの【他の日付を見る】まで遡り物件の変遷を確認することで、表面からは見えない背景を読み取ります。小さな差を積み重ねる姿勢が成果の差になります。
- 登記簿謄本は㎡数や築年数、登記名義人の名前を確認するだけで充分ですか?
- いいえ、不十分です。登記簿は単なる物件情報ではなく、売主様の人生の履歴が刻まれた資料です。権利関係や登記原因を読み解き、その背景にある事情を想像することで、営業は単なる査定から信頼される提案へと変わります。
不動産一括査定サイトから初めて反響のあったお客様を追客する際、そのお客様がどのような背景をお持ちで、どのような属性の方か考えながら追客していますか?
「背景?属性?初めて反響をいただいて未だお目にかかっていないお客様のことなんか分かる訳ないじゃないか」と思われたかも知れませんね。しかし、お目にかかってもいない売主様の背景や属性を知る方法があります。
そのために、先ず行っていただきたいことが「インターネット検索」です。具体的にご説明します。
不動産一括査定サイトから次のような反響があったとします。
【物件所在地】静岡県浜松市中央区
【登記名義人】愛知県大府市 山田太郎
【査定依頼人】大阪府大阪市阿倍野区 鈴木花子
この場合検索していただきたい言葉は以下の通りです。
・山田太郎 + 静岡(名義人氏名+物件都道府県名)
・山田太郎 + 浜松(名義人氏名+物件市区町村名)
・山田太郎 + 愛知(名義人氏名+名義人住所の都道府県名)
・山田太郎 + 大府(名義人氏名+名義人住所市区町村名)
・鈴木花子 + 静岡(依頼人氏名+物件都道府県名)
・鈴木花子 + 浜松(依頼人氏名+物件市区町村名)
・鈴木花子 + 大阪(依頼人氏名+依頼人住所の都道府県名)
・鈴木花子 + 阿倍野(依頼人氏名+依頼人住所市区町村名)
このようなキーワードで検索することにより、登記名義人の情報や査定依頼者の情報にたどり着けることがあります。
どのようなページがヒットするかといいますと、SNS、勤め先のスタッフ紹介、出身大学での論文、マラソンやゴルフの大会参加者一覧、地方新聞の記事などです。
実際、私のクライアントではこれら検索により様々な情報を事前に入手することが出来ました。その一例を少しだけ以下の通りご紹介します。
・査定依頼人が大手上場企業の役員であること。
・査定依頼人がぐるなび高評価店のオーナーシェフであること。
・査定依頼人が元警察官で警察署長も務めたことがあること。
・査定依頼人が以前重大な犯罪をおかしていたこと。
・名義人が不慮の事故死を遂げておられたこと。
・名義人は地方議会の幹部議員であること。
・名義人が最近脱サラし物件所在地に引越ししたばかりであること。
・名義人が会社の創業者で、査定依頼人がその孫であること。
これらの情報が事前に分かっていれば、売主様へのアプローチは大きく変わると思いませんか?
次にインターネットで見ていただきたいことは「査定物件のGoogleストリートビュー」です。
Googleストリートビューくらいチェックしているとおっしゃる方も多いでしょうが、そのような方でもストリートビュー画面の左上にある【他の日付を見る】の部分までチェックまではご覧になっておられないかも知れませんね。
この【他の日付を見る】を見れば、物件によっては過去何年にもわたって当時の物件の情報を確認することが出来、そこには数年前の街並みが残っています。
つまり、更地物件であっても以前建っていた建物を見ることが出来ますし、一戸建ても外壁に修繕時期などを知ることが出来ます。売主様からヒアリングする前にこれらの物件情報を確認できることは、査定時の提案に厚みを持たせてくれるでしょう。
次に登記簿謄本(登記事項証明書)の内容も精査してください。なお、全案件必ず登記簿謄本(共担付)を取得し、売主様と連絡がつかなかった案件も登記簿を取得します。
くれぐれも登記簿謄本を単なる書類としては見ないでください。あれは、ある意味で売主の人生の断片が刻まれた物ですので。
内容に関しては、多くの方が次のようなチェックはされていると思います。
・根抵当権が設定されていれば自営業者と推測。
・「財産分与」が登記原因なら離婚。
・相続原因日付に「推定」なら孤独死と推測。
しかし、更に踏み込んで根抵当権の債務者である会社などの商業登記簿を取得して役員欄を確認したり、離婚案件なら住宅ローンの債務者はどのようになっているのか、重畳的債務引き受けで旦那さんの単独債務になっているのか否かを確認したり、孤独死案件なら亡くなったのが春夏秋冬のいつかを確認し、特殊清掃の可能性を考慮したりしてください。
このように、不動産一括査定サイトから初めて反響のあったお客様を追客する際も事前に多くの情報を知ることが出来、これらを知ることは仕入れ営業を有利に進めることに一助となるでしょう。
孫氏の兵法に曰く、敵を知り己を知れば百戦危うからず、彼を知らずして己を知れば一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に必ず殆うし、ともありますしね。営業もまた、似たようなものだと私は思います。
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ネット情報検索や登記簿精査による事前情報収集型不動産仕入れ営業
事前情報収集型不動産仕入れ営業とは、不動産一括査定サイトなどから反響のあった売主に対し、面談前の段階でインターネット検索、Googleストリートビュー、登記簿謄本などを用いて人物背景や物件履歴を調査し、売主の事情や意思決定の背景を仮説として把握したうえで営業活動を行う手法である。売主の属性や物件の過去状況を理解した状態で提案に臨むことで、ヒアリングの精度と信頼関係を高め、仕入れ営業の成功確率を高める実務的営業思想である。
執筆・編集
株式会社レコ 不動産業専門コンサルタント 梶本幸治本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。