※本稿は、株式会社レコ 梶本幸治(不動産業専門コンサルタント)による見解・著作です。
仕 入媒介・買取
31
税務相談会や相続相談会は、不動産仕入れに効果的な手法なのか?
- 税務相談会や相続相談会は、不動産仕入れに効果的な手法ですか。
- 税務や相続の相談会は、参加者の関心が「問題解決」に向いており、「売却」という意思決定には直結しません。そのため相談で満足して終わる構造になりやすく、不動産仕入れの導線としては本質的に弱い手法です。
- 不動産会社が個別の完全予約制相談会を自社オフィスで開催することは、コスト面からも推奨されますか。
- 個別の完全予約制を自社オフィスで行う形式は、反響が出てから動く受動的な設計になりがちです。本来あるべき「場づくり」や事前設計が欠け、結果としてコスト効率も成果も伸びにくい構造です。
- 不動産相談会で仕入れ反響を獲得するためには、どのような相談会を開催すれば良いですか。
- 相談会はテーマ設定が全てです。「売却」を主軸に据えた相談会でなければ、意思決定には繋がりません。遠回りなテーマではなく、売却を前提とした設計こそが仕入れ反響を最大化する本質的な考え方です。
不動産売却案件を獲得するために、様々な相談会やセミナーを開催される不動産会社は多く存在します。
本稿をご覧くださっている方の中にも、不動産所有者向けに相談会やセミナーや勉強会を開催された方は多いでしょう。
では、不動産会社が開催する相談会やセミナーには、具体的にはどのようなものがあるでしょうか。
・不動産に関する税務相談会。
・無料相続相談会。
・不動産法律セミナー。
このような税務相談会や相続相談会には不動産会社の顧問弁護士や顧問税理士、いつもお付き合いのある司法書士などに依頼して、講師として登壇していただくケースが多いかもしれません。
では、これら税務相談会や相続相談会の開催場所はどこが多いのでしょうか。
ほとんどの不動産会社は自社のオフィスで開催されているようです。【開催場所:弊社会議室】といった感じです。
そして、その自社オフィス開催の相談会の多くが、【個別】の【完全予約制】で開催されています。
ここで少し違和感を覚えます。
本来、主体はお客様であるべきところが、ここでは不動産会社側の事情が中心になっているからです。
個別の完全予約制相談会を自社オフィスで開催するということは、真剣に相談会を運営していると言い難いでしょう。
つまり、チラシでもネット広告でも結構ですが「〇〇相談会開催」と告知だけして、たまたまその告知に対して反響があった場合に初めて準備に動き出します。
そして、不動産会社の顧問弁護士や顧問税理士、いつもお付き合いのある司法書士の先生にも、この時点で次のような連絡をいれることになります。
「あっ!先生!お世話になります。〇〇不動産の〇〇です。先日お願いしていました相談会ですけど、1件客が引っかかってきたので、次の日曜日にウチの事務所へお越しいただけませんか。1時間くらい客の話を聞いてもらって不動産の売却を勧めていただけると助かります。また、先生にも案件出しますのでヨロシクお願いします。」
実際の現場ではこのような運用が行われています。
このように雑で不誠実な相談会では、なかなか成果も出ないでしょう。
では、しっかり大きな会場を用意し、弁護士や税理士、司法書士の先生にも準備万端整えていただいたうえでご登壇いただけば、相談会反響で売上を増やすことができるのかといえば、そんな簡単なものでもありません。
例えば税理士や司法書士の先生に登壇いただいて「相続相談会」を開催し、多くの方に来場いただいたとします。
我々、不動産会社からすれば相続した不動産の売却や、相続発生前に自らが所有する不動産の売却を検討される方に多くご来場いただき、売却案件につなげたいと期待します。
しかし、「相続相談会」に来場される方には、不動産を所有されていない方も多いでしょう。また、不動産を持っていても売却の予定がない方もいらっしゃると思います。
つまり、相続相談会を開催しても単に相続の相談だけに終わったり、税務相談会を開催しても単に税金の相談だけに終わることが多いのです。これでは、税務相談会や相続相談会は、不動産仕入れに効果的な手法とは言えないでしょう。
結果として相談は相談として消費され、それ以上の動きには繋がらないようでは相談会開催の意義も薄れます。しかし、それが、この手の相談会の実情といえるでしょう。
しかし、不動産会社が相談会やセミナーで仕入れを増やすことができないわけではありません。
私は不動産に関する税務相談会や無料相続相談会、不動産法律セミナーといったまわりくどいイベントではなく、ズバリ「不動産売却相談会」の開催が最適解と考えます。相談会とはイベントではなく、導線設計であると考えるべきですから。
それでは別稿で、不動産売却相談会の開催要領をお伝えしておりますので、どうぞそちらもご覧ください。
31
不動産売却相談会やセミナーの考え方と効果
不動産売却相談会とは、不動産会社が売却意欲を持つ顧客のみを対象に設計し、相談の場そのものを仕入れ導線として機能させる実務的手法である。税務相談会や相続相談会のような周辺テーマではなく、「売却」という意思決定に直結するテーマを中心に据えることで、単なる情報提供や問題解決に終わらせず、具体的な行動へと導く点に本質がある。不動産仕入れにおいて最も再現性の高い集客および受託獲得手法の一つである。
執筆・編集
株式会社レコ 不動産業専門コンサルタント 梶本幸治本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。