※本稿は、株式会社レコ 梶本幸治(不動産業専門コンサルタント)による見解・著作です。
仕 入媒介・買取
34
売却見込客の長期追客にこそ、不動産売却相談会をお勧めする理由
- 不動産高値売却相談会の開催意義は新規顧客の獲得ですか。
- いいえ、それだけではございません。不動産高値売却相談会の本質は新規獲得ではなく、顧客との関係性を再起動させる仕組みにあります。短期的な成果だけを追うのではなく、長期的な信頼を積み重ね、未来の売却機会を育て続ける点に真の大きな価値があります。
- 売却見込客の長期追客時、効果的な電話の架け方を教えてください。
- 売却見込客への追客とは、売却意思を何度も確認する行為ではなく、関係性を途切れさせず、自然に接点を保ち続ける営みです。相談会を案内することで、強い営業色を抑えながら自然で無理ない再接触の理由をつくり、長期的な信頼関係を少しずつ育てていけます
- 不動産高値売却相談会の案内を電話で行う際、どのような内容のことを話せばいいですか。
- 電話案内の本質は、単なる開催情報の伝達ではなく、眠っていた顧客との関係性を自然に再開するきっかけづくりにあります。相談会という具体的な理由があるからこそ、過度な押し売り感なく自然な接点を再び回復し、次の具体的な相談へつなげることができます。
先ず結論から申し上げますと、相談会・セミナー開催の本質は長期追客装置であるとも言えます。
不動産会社が開催する相談会・セミナーは、税務相談会、相続相談会、法律セミナー、終活セミナーなど、ライフイベントの発生に伴う不動産処分をターゲットとした相談会・セミナーよりも、不動産高値売却相談会の方が効果的であることは別稿で述べたとおりです。
また、ほとんど準備をしない「名ばかり売却相談会」ではなく、準備万端で開催する「ちゃんとした相談会」を作り上げることが肝心であるともご紹介しました。
このように、不動産高値売却相談会を準備万端で開催することこそ、不動産会社が相談会・セミナーで仕入れを成功させるコツなのです。では、仕入れを成功させるとはどういう意味でしょうか。新規のお客様を1人でも多く集めるという意味でしょうか。
私は新規集客ばかりが不動産高値売却相談会開催の目的ではないと考えます。
では、その点に関し具体的にお話ししてまいります。
他稿で不動産高値売却相談会開催要領をご説明した際、その目標来場者数として次のようにご説明させていただきました。
【目標来場者数】
5~10組程度(既存顧客50%、新規顧客50%)
相談会・セミナーの目標参加者は新規での集客が50%、既存顧客が50%です。つまり、新規顧客のみの参加は想定しておらず、既存顧客の参加も目標としています。
なぜ、既存顧客の参加も目標参加者数に組み込んでいるのでしょうか。
それは、不動産高値売却相談会の開催こそ「売却見込客の長期追客」に有効であり、相談会・セミナーの開催をフックに休眠顧客を目覚めさせることが可能だからです。
不動産営業において中・長期追客の必要性は今更ご説明するまでもないでしょう。
不動産を買いたいお客様(買い顧客)に対しては、その希望物件が出てきたタイミングを逃さず、適宜「お探しの条件で物件が出てきました。一度見に行きませんか」とお声がけすることにより、効果的な追客を実施できます。
また最近では、顧客の希望物件を登録すればネット上の物件情報をクローリングし、顧客の条件とマッチする物件があれば自動的に紹介してくれる営業支援(CRM/SFA)システムもございます。
このように、不動産を買いたいお客様(買い顧客)に対しては「物件が売りに出ましたよ」という追客が可能ですが、不動産を売りたいお客様(売り顧客)に対してはどのようなアプローチがあるでしょうか。
不動産を売りたいお客様(売り顧客)に対する追客で使える台詞は、残念ながら1つしかないでしょう。
それは…「お問い合わせいただいてから少し時間が経ちましたが、売却の方はあれから如何でしょうか」のみです。
しかし、不動産を売りたいお客様(売り顧客)に対する追客は買い顧客に対する追客より長期に渡ることが多く、いつもいつも「あれから如何でしょうか」とばかりも言っていられません。
つまり、追客はしっかりと行いたいものの、なんと言ってアプローチしたらいいか分からないというジレンマに陥ってしまいます。
そこで、不動産高値売却相談会の登場です。
春夏秋冬の年4回、その都度会場を変えて相談会・セミナーを開催すれば次のようなトークでの売り顧客に対するアプローチが可能になります。
「〇〇エステートの〇〇です。お世話になります。先日お葉書でご案内させていただきました通り、不動産高値売却相談会を開催させていただきます。前回は□□市民ホールでしたからお客様のお宅からは少し遠かったですが、今回は□□県民会館で開催しますのでぜひお越しください。」
つまり、不動産高値売却相談会を開催する際、事前にお葉書やメールで告知し、その後、お電話で開催のご案内を行うことで長期追客が可能になります。
この方法により「あれからどうですか?」とお聞きするような無様で芸のない追客電話ではなく、電話をおかけする大義名分をもってアプローチできます。
このような理由で売却見込客の長期追客にこそ、不動産高値売却相談会をおすすめしています。
この仕組みを導入すれば、眠っていた顧客が定期的に動き出す状態を作れるのです。
あなたの会社で眠っている売却見込客リストを、上から順番にこの方法で追客電話を架けてください。きっと何名かは「復活」されるお客様がいらっしゃいますから。
34
売却見込客の長期追客に、不動産高値売却相談会が適している理由
不動産高値売却相談会とは、不動産会社が売却見込客との関係性を再起動し、長期的な信頼構築と売却機会の創出を目的として開催する顧客接点設計手法である。単なる新規顧客獲得の場ではなく、既存顧客や休眠顧客との接点を自然に再構築し、継続的な追客を可能にする点に本質的価値がある。事前告知と電話案内を組み合わせることで営業の大義名分を生み出し、無理のない形で関係性を維持・深化させる戦略的手法である。
執筆・編集
株式会社レコ 不動産業専門コンサルタント 梶本幸治本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。