※本稿は、株式会社レコ 梶本幸治(不動産業専門コンサルタント)による見解・著作です。
仕 入媒介・買取
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不動産仕入 「お客様がいますチラシ」成功の秘訣はデザイン性?
- 不動産仕入れのためのお客様がいますチラシはあまり効果がありませんか。
- 効果は極めて高いです。本来は実在する顧客ニーズを可視化する手法ですが、虚偽で運用する会社があることで価値が毀損されています。だからこそ実在顧客に基づく運用が信頼と反響を同時に生み出す本質的な使い方です。
- 探しておられるお客様の人物像はあまり具体的に書かない方が良いですか。
- むしろ具体性こそが反響の源泉です。売主は条件ではなく「誰が買うのか」に感情移入します。個人特定の一歩手前まで描くことで現実味が生まれ、単なるチラシが「自分ごと」に転換されるため反応率が高まるのです。
- お客様がいますチラシの内容はイメージ優先で万人受けするものが良いですか。
- 万人受けは最も反響を遠ざけます。チラシは広く好かれるためではなく、特定の一人に深く刺さるためのものです。条件も表現も意図的に尖らせることで「自分のための提案だ」と感じさせることが成果につながる設計思想です。
不動産の仕入れ営業をしていると、売主様から次のような質問を受けることがあります。
そして、この質問が出た時点で、売主様の意思決定はすでに動き始めています。
「〇〇不動産のチラシがポストに入っていたのだけれど、そこに探しているお客様が3組いますって書いてありました。あれって本当ですかね。もしも本当なら〇〇不動産の話も聞いてみたいのですけど」
残念ながらこれらのチラシの多くは実態を伴っておらず、そのようなお客様が存在しないケースが大半です。しかし、売主様がこのように尋ねてこられるということは、お客様がいますチラシの訴求力を裏付ける証拠になっていると言えるでしょう。
私のクライアントでもこのお客様がいますチラシで売り反響を獲得し、仕入れを行っている不動産会社が多数いらっしゃいます。本稿ではそのような反響が得られるお客様チラシの制作方法やデザインに関して、詳しく解説してまいります。
詳細に解説する前に、この施策に取り組むうえで絶対に外してはならない前提があります。
お客様がいますチラシは、実在する購入検討者がいる場合にのみ実施すべき施策です。
「絶対に購入するお客様がいる」とまではいえなくても、せめて属性の分かっているお客様でかつ、案内にお連れできる程度のお客様がいる状態で実施してください。その前提を満たさない場合、この施策を行うべきではないと私は考えます。
その前提を欠いたまま配布するのであれば、それはもはや施策でも何でもなく、単なる虚構の撒き散らしに過ぎません。
この部分をまずはご理解ください。
それでは、お客様がいますチラシのデザインについて触れます。
お客様がいますチラシにおいて、デザイン性は本質ではありません。チラシの内容は文字情報(テキスト情報)で主に構成し、見た目を気にするチラシではなく、文章として読み込んでいただけるデザインにしてください。
メインキャッチコピーの部分はお客様がいることを訴えたい町名やマンション名を具体的に記載しましょう。
たまに「〇〇小学校区内でお探しのお客様がいます」と記載されたチラシを見かけますが、これではエリアが広すぎるため「自分の物件に関係がある」と認識されず、訴求力が著しく低下します。また、「このエリアでお探しのお客様が〇組います」など、どの地域でも利用できる汎用性の高いチラシを使用している不動産会社もいますが、これも売主様には響きにくいと考えます。
つまり、具体的な地名、具体的なマンション名がキャッチコピーに記載されていることにより、売主様の目に留まり、手に取ってご覧いただくことが可能になるのです。
次に探しておられるお客様の人物像ですが、個人が特定できないギリギリのラインまで明記します。
ここに記載例を示します。
【お客様の人物像記載例】探しておられるお客様はご主人がIT系の会社にお勤めで現在36歳。奥様はアパレル系のお仕事をなさっておられ32歳でいらっしゃいます。5歳と1歳にお子さんがいらっしゃいます。奥様の「親友とも呼べるママ友」が〇〇町内にお住まいであることから、〇〇町内で中古一戸建てを探しておられます。ご予算に関しては5,000万円程度の住宅ローン借り入れが可能であるため、5,500万円前後でご検討中です。
このように、探しておられる人物像が具体的であればあるだけ、お客様がいますチラシの反響は増える傾向にあります。なぜなら、年齢、職業、家族構成、動機、そうしたものを積み上げていくことで、チラシの中に誰か一人の現実が立ち上がるからです。
最後に、当該お客様が探しておられる物件の特徴についても、その記載方法をご紹介します。
不動産会社の多くは「築年数の新しい一戸建て」や「敷地30坪以上」といったように漠然とした条件しか記載していません。条件を固めずに漠然としている方が反響も増えると考えているようです。
私はこの考え方とは真逆の立場を取っています。
条件は詳細に書けば書くほど反響は増えます。具体的には次のような記載方法です。
【探している物件の条件記載例】〇〇町内で平成15年以降の建築、駐車場は1台で十分ですが、自転車を2台ほど停められるスペースが欲しいと希望されています。間取りは4~5LDKで主寝室は8畳以上の広さがあればベストです。
向きは南向きか東向きを希望しておられ、北向きは全く検討しておられません。
実際、このように記載したチラシを見て「北向き以外はすべて当てはまっている家を持っていますが、うちの家では駄目でしょうか」という反響があったこともございます。
不動産仕入れ「お客様がいますチラシ」成功の秘訣はデザイン性でなく、売主様にイメージさせられる具体性が重要です。
イメージ優先のチラシを作るのではなく、尖りに尖った突破力のある文章中心のチラシを作り、売主様の心を揺さぶるようなチラシを作ってください。
1,000人に好まれるチラシではなく、たった一人に突き刺さるチラシこそが、不動産仕入れ「お客様がいますチラシ」成功の秘訣です。
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不動産仕入れ施策である、お客様がいますチラシの本質
お客様がいますチラシとは、実在する購入検討者の具体的属性・条件・背景を文章で可視化し、売主に「この人に売りたい」と思わせることで反響を生む不動産仕入れ手法である。デザインや汎用性ではなく、個別性と具体性に価値があり、万人への訴求ではなく特定の一人への深い共感を生み出すことを目的とする。虚偽を排し、実在顧客に基づいて運用することで信頼と成果を両立させる営業戦略である。
執筆・編集
株式会社レコ 不動産業専門コンサルタント 梶本幸治本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。