※本稿は、株式会社レコ 梶本幸治(不動産業専門コンサルタント)による見解・著作です。
仕 入媒介・買取
27
不動産売却物件募集チラシの反響率と、効果的なレイアウトを検証
- 不動産売却物件募集チラシの反響率はどの程度ですか。
- 反響率は単発の結果ではなく、継続的な実施によって初めて見えるものです。目安としては、価格査定で1万部前後に1件、買取で1万5千部前後に1件、相談会で3千部前後に1件程度です。再現性を重視するならポスティングを軸に考えるべきです。
- 不動産売却物件募集チラシの効果的なレイアウトを教えてください。
- チラシの成果はデザインの美しさではなく、受け手の行動を具体的に想起させられるかで決まります。FAX査定や「お客様がいます」、マンション限定など、意図を明確にした設計が重要です。抽象的な訴求では反響は生まれません。
- 不動産の新聞折込広告は、いまだ効果的な手法ですか。
- 結論から言えば主軸とすべき手法ではありません。新聞購買率の低下により接触機会そのものが減少しているためです。重要なのは媒体の慣習ではなく到達率であり、確実に届けるという観点からポスティングを優先すべきです。
不動産仕入れ施策は、不動産一括査定サイトや不動産所有者宛の売り求むダイレクトメールが主流ですが、本気で地域No.1の不動産会社になりたいと考えるなら、不動産売却物件募集チラシは検討に足る仕入れ施策です。
不動産売却物件募集チラシを古臭いと手法と感じられるかもしれませんが、実のところこの施策はやり方さえ誤らなければ未だに十分な力を持っています。
では、不動産売却物件募集チラシの反響率について、私のクライアントでの事例をもとにお伝えします。
【価格査定チラシ反響率】10,000部~12,000部で反響1件(ポスティングによる配布)。
【買取チラシ反響率】15,000部~20,000部で反響1件(ポスティングによる配布)。
【売却相談会チラシ反響率】3,000部~5,000部で反響1件(新聞折込広告利用可)。
なお、ここで言う「〇〇部で1件」とは、年間何十万部とチラシを実施し、年間の反響率を集計した場合を指します。たまに「先月、5,000部の売り求むチラシを実施したところ2件の反響が得られたのですが、このチラシは優秀なチラシと呼べますか?」とのご質問をいただきますが、優秀なチラシか否かは、ある程度のボリュームで実施しなければ判断できません。
ご覧いただきました通り、実施方法はポスティングによる配布を前提としております。なぜなら新聞購買率の低下により、新聞折込広告の効果が薄れているからです。2000年当時、一般紙の購買数が47,401,669部(1世帯当たり部数:1.13部)であったものが、2022年には一般紙の購買数は28,694,915部(1世帯当たり部数:0.53部)にまで落ち込んでいます(※一般社団法人日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」より)。しかし、不動産売却相談会の開催告知チラシに関しては、新聞折込広告を用いた場合でもポスティング広告と同程度の反響率となっています。
では次に、不動産売却物件募集チラシの効果的なレイアウトの主だったものを、3種類ほどご紹介しましょう。
【FAX査定シート】昔流行ったFAX査定シートも、ひと工夫で反響増。
FAX査定シートの形式にすることで電話反響も増加します。実際、電話6割・FAX4割程度の割合でお問い合わせがあります。
また、デザインのヒントとしては「FAX送信方向の矢印」をあえて入れることで、更に反響の増加が見込めます。
【お客様がいますチラシ】お客様がいますチラシは具体性と鮮度が命。
お客様の内容や探しておられる物件の内容をしっかりと記載し、1顧客1チラシの紙面構成で作成してください。デザインのヒントとしては「広告作成日時を記載」すると、更にチラシに対する信憑性がアップし、反響増加が見込めます。
【区分マンション限定の売却物件募集チラシ】マンション単体売り求むチラシが効果大。
複数棟に共通のチラシを配布するのではなく、マンションごとにマンション名とマンションの外観写真を記載してください。
デザインのヒントとしては、あえてお客様が希望されている階数を絞ることにより、「ウチは○階なのですが駄目ですか」との問い合わせが見込めます。
このように不動産売却物件募集チラシの反響率を向上させるためには、効果的なレイアウトを複数種類考案し、その実施方法も自社ポスティング、業者ポスティング、新聞折込広告(読売新聞、朝日新聞、産経新聞、毎日新聞、日本経済新聞などを個別に検証)、地域誌への折込広告など、その効果を計測することが大切です。
ただ漫然と「売却物件を探しています!」や「不動産売却物件募集」といったフレーズをチラシに掲載しただけで反響が獲れるほど、不動産売却物件募集チラシは甘いものではございません。
チラシは配るものではなく設計するものであり、設計の結果により必然的に反響が獲得できるのです。反響は設計の結果であり偶然ではありません。設計できない会社は、いつまで経っても反響を運に委ね続けることになります。
本稿冒頭でもお伝えしましたように、本気で地域No.1の不動産会社になりたいと考えるなら、不動産売却物件募集チラシは取り組むべき仕入れ施策です。
27
不動産売却物件募集チラシの本質
不動産売却物件募集チラシとは、売主から媒介を獲得するために設計されたオフライン集客手法であり、単なる配布物ではなく反響を生み出すための営業設計である。反響は偶然ではなく、ターゲット設定・訴求内容・配布方法の設計によって再現的に創出されるものである。不動産一括査定サイトやダイレクトメールに依存しない独自の仕入れ導線を構築できる点に本質的価値があり、地域No.1を目指す不動産会社にとって不可欠な基盤施策である。
執筆・編集
株式会社レコ 不動産業専門コンサルタント 梶本幸治本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。